近年、「NMN」は老化研究の分野で注目され、多くのサプリメントが販売されています。
NMNは体内で「NAD」という物質に変わります。
NADは細胞がエネルギーをつくるために欠かせないだけでなく、DNA修復や細胞の働きを支える重要な役割を担っています。
そのため、健康維持や加齢対策への期待が高まっています。
しかし、ここで大切なことがあります。
正常な細胞も、がん細胞もNADを必要としています
私たちの正常な細胞は、必要な量のNADを利用して毎日活動しています。
一方、がん細胞は急速に増殖するため、正常な細胞よりもはるかに多くのNADを必要とします。
そのため多くのがんでは、NADを作る酵素(NAMPT)が増え、NADを大量に確保する仕組みが働いています。
つまり、がん細胞にとってNADは「生きるための燃料」の一つなのです。
最新の研究で分かってきたこと
最近発表された膵がんの研究では、NMNなどのNAD前駆体を投与すると、
- がん細胞のミトコンドリア機能が改善する
- 酸化ストレスが減少する
- DNA損傷が少なくなる
- 抗がん剤への抵抗性が高まる
ことが報告されました。
動物実験では、NMN投与によって腫瘍の成長が促進された結果も示されています。
もちろん、これらは研究段階の結果であり、すべての患者さんにそのまま当てはまるとは限りません。
しかし現在活動しているがんに対して、「NMNは安全である」と言える十分な臨床データはまだありません。
世界の研究は逆の方向へ進んでいます
興味深いことに、現在のがん研究では、
「NADを増やす」
のではなく、
「がん細胞だけのNAD産生を止める」
という治療法の開発が進められています。
これは、がん細胞がNADに強く依存していることを利用した新しい治療戦略です。

MITO RISINGの考え方
私たちは、ミトコンドリアを活性化すれば、それだけで良いとは考えていません。
大切なのは、
「どの細胞の回復を支えるのか」
という視点です。
健康な細胞の回復を助けることと、がん細胞の活動を助けてしまうことは、まったく異なる問題です。
そのため、活動性のがんをお持ちの患者さんに対するNMNの使用については、現時点では慎重に考えるべきだと考えています。
最後に
サプリメントは「天然だから安全」「老化に良いから誰にでも良い」とは限りません。
特にがんを治療中の方や経過観察中の方は、ご自身の判断だけで使用せず、主治医や専門医に相談することをお勧めします。
MITO RISINGは、最新の科学的根拠に基づき、一人ひとりの状態に合わせた「回復力医療」を目指しています。
