2026年10月8日
新しい5巻シリーズ、「ミトコンドリア回復医療」という新しい健康学が始まります。
その第1巻が、『回復力を取り戻す!』です。
この本を書くまで、私はずっと一つの問いを追い続けてきました。
人は、なぜ年齢とともに「戻れなくなる」のか。

2024年
私は『老化は「治る」』で、老化とは何なのかを考えました。
当時の大きな問いは、How can we slow aging?
どうすれば老化を遅らせられるのか。
しかし患者さんを診ながら、次第に別のことが気になるようになりました。
同じ70歳でも、病気のあと、すぐに戻れる人がいる。
一方で、病気そのものは治っているのに、「以前の自分に戻れない」と感じる人がいる。
年齢だけでは説明できない。
病名だけでも説明できない。
そこには、「戻る力」の違いがあるのではないか。
そして2025年、ミトコンドリアへ
『ミトコンドリアから読み解く老化と再生』では、生命の内側から老化を考えました。
ミトコンドリアは、単なる「細胞の発電所」ではありません。
エネルギーをつくる。
ストレスへ応答する。
代謝を切り替える。
免疫や炎症に関わる。
傷んだものを処理し、新しいものをつくり、ネットワークを再編成する。
そこから、私の問いは変わりました。
「ミトコンドリアをどう増やすか」ではなく、「生命は、傷ついたあと、どうやってもう一度働ける状態へ戻るのか」へ。
しかし、ミトコンドリアだけではなかった
さらに考えていくと、Mitochondria alone is not enough.
そのことが見えてきました。
感染から戻るには、免疫が必要です。
炎症を終わらせる仕組みも必要です。
血流が必要。
リンパが必要。
筋肉が必要。
睡眠が必要。
代謝が必要。
脳と自律神経による調節も必要です。
つまり回復とは、一つの臓器、一つの分子、一つの経路だけで起こるものではありません。
Recovery is a systems property.
複数の生命システムが、必要なときに働き、互いにつながり、役割を終え、そして全体として再び秩序を取り戻す。
Recovery Capacity ― 回復力が生まれるのではないか。
2026 RECOVERY CAPACITY
そして今年。私の問いは、How can we slow aging? から、
How can we preserve the capacity to recover? へ変わりました。
回復力とは、単なる「元気」でも、単なる「体力」でもありません。
ストレスやダメージを受けたあとに、反応し、修復し、再編成し、適応し、そしてもう一度機能できる状態へ向かう力です。
だから私は、健康とは、何も起こらないことではなく、何かが起きても戻れることだと考えるようになりました。
そして、医学への問いも変わりました
これまで医学は、What disease does this person have?
「この人は何の病気なのか」を問い続けてきました。
これは、これからも医学の中心であり続けます。
しかし、その次にもう一つ、
How well can this person recover?
「この人は、どれくらい回復できるのか。」という問いを加えることはできないでしょうか。
病気を診る。
治療する。
そして、その先に、回復できる状態まで支える。
私は、その考え方を Recovery Capacity Medicine として育てていきたいと思っています。

明日、新しいシリーズが始まります
2024|AGING
『老化は「治る」』
↓
2025|MITOCHONDRIA & REGENERATION
『ミトコンドリアから読み解く老化と再生』
↓
2026|RECOVERY CAPACITY
『回復力を取り戻す!』
これは、これまでの本の「続編」というだけではありません。
私にとっては、老化を見る医学から、回復する能力を診る医学へ進むための第1歩です。
そして同時に、5巻シリーズ「ミトコンドリア回復医療」という新しい健康学の始まりでもあります。
THE AGE OF RECOVERY BEGINS TOMORROW.
明日から始めたいのは、「老化に負けない」という戦いではありません。
何歳になっても、もう一度戻れる身体をどう支えるかという、新しい問いです。
Aging is not time.
It is the loss of recovery capacity.
そして、
Hope is Recovery.
Recovery is Life.
October 8, 2026
『回復力を取り戻す!』
Dr. Shigeki Takemoto
MITO RISING|THE AGE OF RECOVERY