第III相臨床試験の結果
2026年7月、
埼玉医科大学とSBIファーマの研究グループは、
5-ALA塩酸塩とクエン酸第一鉄ナトリウム(SFC)
を用いた
ミトコンドリア病(リー脳症)
に対する第III相臨床試験の結果を発表しました。
研究成果は、
国際医学誌
PLOS One
に掲載されています。
ミトコンドリア病とは?
ミトコンドリア病は、
ミトコンドリアが十分にエネルギーを作れなくなることで起こる病気です。
特に
- 脳
- 筋肉
- 神経
など、
多くのエネルギーを必要とする組織に症状が現れます。
今回対象となった
リー脳症(Leigh syndrome)
は、
乳幼児期に発症することも多い
重いミトコンドリア病の一つです。

5-ALAは何を目指したのか?
5-ALAは、
体内で
ヘム
という重要な物質の材料になります。
ヘムは、
ミトコンドリアの電子伝達系に必要な
シトクロムの構成成分であり、
ATP産生を支える重要な役割を担っています。
つまり、
5-ALAは
ミトコンドリアのエネルギー産生を支えること
を目的として研究されました。
今回の試験で分かったこと
この試験では、
54名の患者さんに5-ALA+SFCを24週間投与し、
改善が認められた28名を対象に、
5-ALA群とプラセボ群へ無作為に分けて比較しました。
その結果、
主要評価項目では統計学的有意差には達しませんでしたが、
効果を維持できた患者さんの割合は5-ALA群で高い傾向がみられました。
さらに、
「効果が失われるまでの期間」は、
5-ALA群の方が有意に長く、
改善状態をより長く維持できたことが示されました(ログランク検定 p=0.0486)。
安全性は?
副作用については、
重篤な副作用の増加は認められず、
薬剤との関連が考えられた副作用はいずれも軽度でした。
研究チームは、
一定の安全性が確認された
と結論づけています。
私たちが注目したポイント
今回の研究で重要なのは、
5-ALAが「病気を治す」と証明したわけではない
ということです。
一方で、
ミトコンドリア病という進行性疾患において、
症状の進行を抑え、改善状態を維持できる可能性
が示されたことは非常に意義があります。
これは、
ミトコンドリア機能を支える治療という考え方を、
臨床の現場で検証した重要な一歩と言えるでしょう。

MITO RISINGとの接点
MITO RISINGでは、
老化を
「回復力(Recovery Capacity)の低下」
として考えています。
今回の研究は、
5-ALAが
単にATPを増やすだけではなく、
ミトコンドリアのエネルギー代謝を支え、回復状態を維持する可能性
を示しました。
私たちは、
5-ALAを
回復力を支えるエネルギー基盤
として位置づけています。
今回の臨床研究は、
その考え方を支える重要な知見の一つになりました。
未来の医療へ
ミトコンドリア病は、
現在でも根本的な治療法が限られています。
だからこそ、
ミトコンドリアそのものの働きを支える研究は、
今後ますます重要になるでしょう。
今回の研究は、
ミトコンドリアを標的とした治療が、基礎研究だけでなく臨床試験の段階へ進んでいることを示しています。
今後さらに多くの研究が積み重ねられることで、
ミトコンドリア病だけでなく、
加齢や神経疾患、筋疾患などへの応用も期待されています。
※本試験で用いられたSPP-004(5-ALA塩酸塩+SFC)は開発中の製剤であり、現時点では承認された医薬品ではありません。本記事は研究成果を紹介するものであり、特定の未承認薬の使用を推奨するものではありません。